「雑草を肥料に変えて環境と経費にやさしい未来への取り組み」稲美苑の取り組み - 日の出医療福祉グループ
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「雑草を肥料に変えて環境と経費にやさしい未来への取り組み」稲美苑の取り組み


日の出医療福祉グループではSDGs推進プロジェクトチームを設置し、グループ全体として取り組める活動や指針の作成および事業化の検討を行っています。その一環で、各施設で行われている自主的なSDGsの取り組みを積極的にグループ内外へ紹介してまいります。

今回は特別養護老人ホーム稲美苑の「雑草を肥料に変えて環境と経費にやさしい未来への取り組み」をご紹介します。

稲美苑では、2022年から特養の竹田さん(現在は伽の里へ異動)主導のもと抜いた雑草を利用した土づくりの取り組みを行っていました。現在は当時から一緒に活動していた菰口さんが跡を継がれています。
7月の日差しの中、がんばる菰口さんの作業を見学させていただきながら、お話を聞いてきました!

何がきっかけとなって活動を始められたんですか?

特養で、裏で畑を始めようという話になった時に、竹田さんが「普通なら捨ててしまうような物を使って、お金をかけないようにしたいよね」と仰って、生えている草を生かして土を作る取り組みを始めました。草って、放っておいても枯れたりするだけでかさばるし、ごみ袋で捨てたらゴミになるので、それを土に還したらいいんじゃないってなったんですよね。
そこから竹田さんが菌による発酵と腐敗のちがいなどを調べたり実験したりして、今のやり方ができた感じです。

隣の施設で抜いた草が大きい段ボール数十箱分になって稲美苑に積み上げられて、「どうしよう」ってなったときにこの方法を実践してみたら、1年で全部土に還せました。そこだけ本当に土の質が変わったので、これを畑でもやろう!となりましたね。

(稲美苑裏側にある畑。みかん、なす、トマト、稲などが今は植えられています)

どういう流れで土に還すのですか?

草を抜いて、それが大体収まるくらいの穴を掘って草を放り込む。そしてスコップとかで草の繊維をざくざく傷つけます。そこへ、竹田さんが試作した「ぼかし肥料」を撒いて、上から土をかぶせて置いておく。
すると一週間後には草が発酵し、1か月後には土に還って、栄養豊富なふかふかの土ができあがります。

ぼかし肥料って?

材料は
・ヤクルト4本(消費期限切れのものを使用)
・米ぬか
・コーヒーかす
・水キムチ汁(キムチの汁)
を使用しているそうです。ヤクルトはその中の乳酸菌を利用する形で、納豆菌とかもいいそうですね。
お金をかけず、捨ててしまうものだけで作るということにこだわられたそうです。

作り方は、材料を捏ねて、ギュっとしたときにパラっとなるくらいまでして空気を抜いて、寝かせて2か月くらいおいて…温度は何度くらいで…とからしいんですけど、それにチャレンジするのはさすがに厳しいと思います(笑)。
なので、少し分解スピードは遅くなりますが、米ぬかだけを草に撒くのでもいいとのことです。米ぬかって栄養がものすごく豊富なので、土の中のバクテリアの餌になって、何もしないよりは全然、分解が進むみたいですね。米ぬかは精米所とかに行けば置いてありますし、入手もしやすいかなと。

ただ、米ぬかを直接地面の上に撒くとそれはそれで虫がたくさんよってきて野菜の葉が食べられてしまうし、未発酵の米ぬかは野菜にはきつすぎるようです。土の中で分解、発酵させるところが大切ですね。

どれくらいのスペースがあればこういうことができますか?

スペース的には、草を抜いたあと、その場所を使って埋めればいいです。なので大きい施設だけではなく、個人宅のプランターや花壇からでもチャレンジしてもらえると思いますね。土に埋めておけば外に置いているよりはずっと早く自然の処理ができますし、ごみとして出す必要がなくなります。

僕も自分の家で抜いた草は、米ぬかを使って土に還すようにしています。職場でやったことを生かして、草を肥料にしていい土にできればと思います。この土は花や野菜を育てるのにはめちゃめちゃいいですよ。

今はおひとりで取り組まれているんですか?

今はそうですね…!
竹田さんが異動されてからは、間を空けつつですけど、頑張っている感じです。
就業時間中にやるとなると、本業があるからなかなか時間が作れなくて…時々、利用者さんと一緒にしたりしています。土が栄養豊富な分、虫とかミミズも結構出るので、女性スタッフには嫌がられるかなと(笑)。
子供とか、男性の利用者さんとかは楽しんでしてくれそうなので、コロナが本当に落ち着いたら家族会などのイベントでもやってみたいと思います。

それに折を見ては職員に声をかけたり、近くの事業所の管理者さんにも話してみたり。僕が手伝うきっかけは、竹田さんに声をかけてもらってではあったんですけど、もともとこういう畑作業みたいなことが好きなのもあって。やってたら楽しくなったんですよね。稲美苑には土地もあるので、新たな要素を取り入れるのではなく、自然の流れに調和しながら進化していきたいと考えています。

~~~作業を終えられたところで、場所を稲美苑に移しました~~~
暑い中お疲れさまでした。この取り組みの、目指すところを教えてほしいです。

ゴミを埋めて土を豊かにするこの取り組みは、いつかは施設で出る残飯の処理に活用できたらと思っています。
稲美苑で1日に出る残飯は、水気を切っても、大きいバケツに3杯分になります。毎日これを燃えるゴミとして施設から出していますが、ごみ袋や回収費などにもちろんお金がかかっていますし、環境への負荷も大きいです。捨てるなら有効活用したいのが一番の想いですね。

ただ、残飯の処理は草とは量も質も違います。本気で処理しようと思ったら、まず大きなタンクに入れて、タンクに穴をあけるなどして水気を抜き、ぼかし肥料と一緒に重ねていきます。そしていっぱいになったら次のタンクに入れ始め、そうして2つ目がいっぱいになる頃に1つ目のタンクの分を土に還して…という感じでしょうか。
こういう手順を踏むと、蓋を開けたときには食品が腐ったにおいじゃなくて、キムチっぽいにおいがするんですよね。

ちゃんとやろうと思ったら、どれくらいの労力がいるものでしょう?

一人が1日1時間、時間をさければなんとか、と思ったりはします。
残飯を運んで、タンクに入れて、肥料を撒いて…たまったら土に還して。時々はぼかし肥料を作って。いずれは稲美苑だけじゃなく近隣の事業所のごみも引き取って、できた土を各事業所にあげることで、ごみを減らしたうえで土や肥料を買う費用をさらに減らせたらなと。本当に体制が整えば、そこに雇用の機会も生み出せるんじゃないかと思うんですけどね。

そしてその延長線上で、他法人でやっている使用済みおむつを高温処理して燃料に変える設備なんかも導入できたら、すごいと思います。
ただ、なんでもそうですが片手間でやるには限界があります。稲美苑の取り組みも、本格化するには最初はボランティア募集からかもしれないですね。

菰口さん

今はとりあえず、雑草肥料作りの仲間を募集中です!!

お忙しいところありがとうございました!

最後に、稲美苑以外の事業所やご家庭でもチャレンジしていただけるよう、手順を以下にまとめました。参考になれば幸いです。
「雑草肥料の作り方」
①草を抜く
②抜いた場所に草が埋まる程度の穴を掘る
③草を穴へ入れ、繊維をスコップで断つ
④上から米ぬか(※精米所等で入手可能)をかける
⑤土をかぶせて、水を少しかけておく
⑥一週間に一回くらい掘り返して混ぜてください。
※ぼかし肥料をかけると、途中1回混ぜるくらいで、
米ぬかの3倍くらいのスピードで土に還ります。
この方法で、約3か月くらいで土に還ります。

後日レポート


1週間後の写真、変色してくったりしていますが、まだ形が残っています。


2週間後、だいぶ繊維がなくなってきました。


気温33℃の直射日光の中、様子を見ながら土と発酵しかけの草をまぜ、追い肥料を試したりなどされていました。そしてこの日は高校生インターンシップが来ており、二人で和気あいあいとされていてよかったです!(^^)

さらに、菰口さんが雑草肥料作りの発起人である竹田さん宅を訪問の上、取材してきてくださいました。


なんと竹田さんは家での生ごみがゼロだそう!

卵の殻などあらゆる生ごみを自家製のぼかし肥料を用いて土に還しているそうです。
①生ごみをタンクにため、水分を抜く。ぼかし肥料も一緒にまぜておく。
②最後に入れてから1週間くらい寝かせたもの。
③②を土にまぜる。


そうしてできた土で育てた野菜などの植物も撮影してくださいました。

現在は異動先の伽の里で、ごくごく小さい範囲ながら、稲美苑と同様に抜いた草を土に還す取り組みを行っているとのこと。そちらでも一緒に取り組む仲間を募集しているそうです!

多くのことを学んだうえで、地道に取り組んでくださっている姿勢に背筋が伸びました。

取り組みを振り返って

稲美苑の取り組みは、SDGsの原型である「サステナブル」の概念に準拠しているといえます。
サステナブルとは、「人間・社会・地球環境の持続可能な発展」を意味します。
出すごみを減らし、栄養豊富な土という資源にして循環させる、この取り組みは将来的にどのような展望が望めるでしょうか?

藤森さん

菰口さんも話してくれましたが、施設ごとに出る残飯の処理はグループ全体の課題といえます。
事業を継続していくためにはそういった支出を抑えることも大事ですし、またその支出を新たなビジネスチャンスととらえ、新規事業を始めるということも検討できるでしょう。
本体となる医療福祉事業の継続のために新しい事業を立ち上げ、利益や雇用や創出していく。またその新規事業の中身は、ごみの減量化・資源の節約・環境保全につなげられる、これは日の出医療福祉グループにとって「持続可能な発展」の一助となるでしょう。
実際に事業化しようというときには、お二人にぜひオブザーバーとして参画してほしいです!
SDGsプロジェクトリーダー 藤森和佐

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